ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に住みつく細菌で、主に幼少期に感染すると考えられています。日本では特に中高年層に感染率が高く、多くの方が自覚症状のないまま長期間感染していることが特徴です
ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こり、慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの原因となります。また、ピロリ菌は胃がんの最大の危険因子とされており、日本の胃がんの多くがピロリ感染と関連しています
■ 症状について
多くの場合は無症状ですが、次のような症状がみられることがあります。
- みぞおちの痛み
- 胃もたれ
- 胸やけ
- 吐き気
- 食欲不振
ただし、症状がなくても胃の炎症が進行していることがあるため、検査が重要です
■ 検査方法
ピロリ菌の感染は、以下の方法で調べることができます。
- 胃カメラ時の組織検査
- 便中抗原検査
- 血液検査(抗体測定)
- 尿素呼気試験
特に胃カメラ検査では、感染の有無だけでなく、胃粘膜の状態や胃がんのリスクも同時に評価できます。感染の有無を評価する場合、胃カメラが推奨されています
ピロリ菌の除菌治療について
ピロリ菌に感染している場合は、将来の胃潰瘍や胃がんのリスクを下げるために「除菌治療」を行います。除菌治療は保険診療で受けることができ、決められた方法で段階的に治療を進めていきます
■ 除菌治療の方法
除菌治療は、胃酸分泌を抑える薬(PPIまたはP-CAB)と抗菌薬2種類を組み合わせた内服治療です。
通常、1日2回・7日間服用します、除菌治療中の1週間は禁酒が必要です。
治療終了後は、約3か月後に胃カメラ・呼気検査などで除菌できたかを確認します
■ 1次除菌(初回治療)
最初に行う標準的な治療です。
使用薬剤の例
- 胃酸分泌抑制薬(ネキシウム・タケキャブなど)
- アモキシシリン
- クラリスロマイシン
除菌成功率
👉 約70〜80%
ただし、近年は抗菌薬耐性の影響により成功率はやや低下傾向にあります
■ 2次除菌(再治療)
1次除菌で除菌できなかった場合に行います。
薬剤の一部を変更して治療します。
変更点
- クラリスロマイシン → メトロニダゾールへ変更
除菌成功率
👉 約90〜95%
1次と2次を合わせると、全体の除菌成功率は約95%以上とされています
ピロリ菌除菌治療の副作用について
ピロリ菌の除菌治療は、抗菌薬と胃酸分泌抑制薬を1週間内服する治療で、安全性は高く多くの方が問題なく治療を終えられます。ただし、薬の影響により一時的な副作用がみられることがあります
■ よくみられる副作用(比較的軽度)
約10〜30%程度の方にみられるとされています。
- 下痢・軟便(最多)
- 味覚異常(苦味・金属味)
- 腹部の張り
- 軽い吐き気
- 発疹
特に、抗菌薬による腸内環境の変化が原因で、下痢や軟便は比較的よくみられます。多くは治療終了後に自然に改善します
症状により内服中止することもあります。
■ 除菌治療のメリット
除菌により次の効果が期待できます。
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発予防
- 胃炎の改善
- 胃がん発症リスクの低下(約1/3〜1/2程度)
■ 除菌後の注意点
除菌に成功しても、すでに胃粘膜の萎縮が進んでいる場合は、胃がんリスクが残ります。
そのため、定期的な胃カメラ検査が重要です
■ まとめ
・除菌治療は7日間の内服療法
・1次除菌成功率:約80〜90%
・2次除菌成功率:約90〜95%
・最終的な除菌率:約95%以上
ピロリ菌感染が確認された場合は、早めの除菌治療をおすすめします。
当院では検査から除菌まで一貫して対応しています

