■潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気で、国の指定難病のひとつです。主に直腸から連続して炎症が広がるのが特徴で、再燃と寛解を繰り返しながら長期にわたり経過します。
発症年齢は若年者に多いものの、近年は中高年での発症も増加しており、日本では患者数が年々増加しています。
原因は完全には解明されていませんが、
- 免疫異常
- 腸内細菌の変化
- 遺伝的要因
- ストレスや環境因子
などが関与すると考えられています

■主な症状(病状)
炎症の程度や範囲により症状は異なりますが、代表的な症状は以下です
●消化器症状
- 血便
- 下痢
- 粘血便
- 腹痛
- 便意切迫(トイレが我慢できない)
●全身症状
- 発熱
- 倦怠感
- 貧血
- 体重減少
重症例では大量出血や腸の拡張(中毒性巨大結腸症)など命に関わる状態になることもあります
■潰瘍性大腸炎の種類(分類)
①炎症の広がりによる分類
●直腸炎型
炎症が直腸のみ
最も軽症で頻度が高い
●左側大腸炎型
直腸から脾弯曲部まで広がる
●全大腸炎型
大腸全体に炎症が及ぶ
重症化しやすい

②重症度による分類
- 軽症
- 中等症
- 重症
- 劇症型
上記の分類は症状・内視鏡所見で総合的に判断します。
治療方針はこの重症度で決まります

■検査について
●大腸内視鏡検査(最も重要)
診断の中心となる検査です。
特徴的な所見:
- 粘膜の発赤
- 出血しやすい状態
- 潰瘍形成
- 連続した炎症
必要に応じて組織検査(生検)も行います
●血液検査
- 炎症反応(CRP)
- 貧血
- 栄養状態
●便検査
感染性腸炎との鑑別に重要です
●画像検査
重症例ではCT検査で合併症を確認します
■治療について
潰瘍性大腸炎は 完治が難しい慢性疾患 ですが、適切な治療により症状を抑え、通常の生活を送ることが可能です。
治療の目的は
- 炎症を抑える(寛解導入)
- 再燃を防ぐ(寛解維持)
■薬物療法
①5-ASA製剤(基本治療)
第一選択薬
- 炎症を抑える
- 再発予防効果
内服・坐剤・注腸があります
②ステロイド
中等症~重症に使用
炎症を強力に抑えますが副作用も多く長期使用は不可
③免疫抑制剤
再発を繰り返す場合に使用
④生物学的製剤(最新治療)
重症例に有効
炎症の原因となる免疫物質を抑えます
薬物治療以外の治療
― G-CAP(顆粒球吸着療法)について ―
潰瘍性大腸炎では、薬物治療が基本となりますが、薬だけでは十分な効果が得られない場合や、副作用で薬を使用しにくい場合に行われる治療として
**G-CAP(顆粒球吸着療法)**があります。
これは体に負担が少ない「血液浄化療法」の一つです
■G-CAPとは
G-CAPは、正式には
顆粒球・単球吸着療法(Granulocyte and Monocyte Adsorptive Apheresis)
と呼ばれます。
炎症の原因となる白血球(顆粒球・単球)を血液中から取り除くことで、腸の炎症を抑える治療です。
薬剤を使わないため、全身への副作用が少ないのが特徴です
■外科手術
薬物治療が無効な場合や重症合併症がある場合に検討されます。
- 大腸全摘術
- 回腸嚢肛門吻合術
近年は術後の生活の質も大きく改善しています
■生活管理のポイント
- 規則正しい食生活
- 過度なストレスの回避
- 禁煙
- 定期的な通院
また長期経過では大腸がんリスクが上昇するため、定期的な内視鏡検査が重要です
潰瘍性大腸炎の食事指導について
潰瘍性大腸炎は食事が直接の原因ではありませんが、症状の悪化や再燃に影響を与えることがあります。
病状(活動期・寛解期)に応じた食事管理が重要です
■活動期(炎症が強い時)の食事
下痢・血便・腹痛がある時期は、腸に負担をかけない食事が基本です
【基本方針】
- 低脂肪
- 低残渣(食物繊維を控える)
- 消化の良い食品を選ぶ
- 刺激物を避ける
◎おすすめ食品
- おかゆ、うどん、白米
- 白身魚
- 鶏ささみ
- 豆腐
- 卵
- よく煮た野菜(にんじん、かぼちゃなど)
×控えたい食品
- 揚げ物
- 脂身の多い肉
- アルコール
- 香辛料
- 炭酸飲料
- 生野菜・海藻・きのこ類(不溶性食物繊維)
■寛解期(症状が落ち着いている時)食事
寛解期は基本的に過度な制限は不要です。
ただし、再燃予防のためにバランスのよい食事を心がけます
【ポイント】
- 良質なたんぱく質を摂取
- 過度な脂質は控える
- 腸内環境を整える
- 暴飲暴食を避ける
■食物繊維について
食物繊維は
- 水溶性食物繊維(比較的安全)
- 不溶性食物繊維(刺激になりやすい)
に分かれます。
活動期は不溶性食物繊維を控えますが、寛解期には適度に摂取することが望ましいです
■乳製品は食べてよい?
潰瘍性大腸炎そのものと乳製品は直接関係ありません。
ただし、乳糖不耐症がある場合は下痢が悪化することがあります。
症状が悪化する場合は控えましょう
■アルコールについて
寛解期で少量であれば必ずしも禁止ではありません。
しかし
- 飲みすぎ
- 空腹での飲酒
- 強いアルコール
は再燃のきっかけになる可能性があります
■栄養不足に注意
長期の炎症では
- 貧血(鉄欠乏)
- 低栄養
- ビタミン不足
が起こることがあります。
定期的な血液検査でチェックし、必要に応じて補充します

■よくある質問
Q. 特別な食事療法は必要ですか?
現時点では「これを食べれば治る」という食事療法はありません。
極端な制限は栄養障害につながるため推奨されません
Q. サプリメントは必要ですか?
不足が確認された場合のみ補充します。自己判断での大量摂取はおすすめしません
■食事管理のまとめ
潰瘍性大腸炎では
- 活動期は腸を休ませる
- 寛解期はバランスを重視
- 極端な制限はしない
患者さん一人ひとりで症状の出やすい食品は異なります。
「食べて悪化するもの」を把握することが重要です
■まとめ
潰瘍性大腸炎は慢性的な炎症性腸疾患ですが、早期診断と適切な治療により症状をコントロールできる病気です。血便や慢性的な下痢が続く場合は、早めの検査が重要です。

