食道がんは、のどから胃へ食べ物を運ぶ「食道」の内側の粘膜から発生する悪性腫瘍です。日本では主に 扁平上皮がん が多く、中部から上部食道に発生しやすい特徴があります。

食道は壁が薄くリンパ管が豊富なため、がんが周囲へ広がりやすく、比較的早い段階でリンパ節転移を起こしやすい臓器です。そのため、早期発見が非常に重要ながんの一つです

病態(がんの進み方)

食道がんは次のように進行します。

  1. 粘膜にとどまる早期がん
  2. 粘膜下層へ浸潤
  3. 筋層へ浸潤
  4. 周囲臓器への浸潤
  5. リンパ節・遠隔臓器への転移

特に粘膜内に限局した早期がんであれば、内視鏡治療による根治が可能です。一方、症状が出現してから発見される場合は進行していることも多く、治療が体に負担の大きな外科的切除・化学療法になります

主な症状

初期症状

早期食道がんでは自覚症状がほとんどありません。

進行すると現れる症状

  • 食べ物がつかえる感じ(嚥下困難)
  • 胸の違和感・しみる感じ
  • 食事中の痛み
  • 体重減少
  • 声のかすれ
  • 咳や誤嚥
  • 背中の痛み

「食事の際に違和感がある」「飲み込みにくい」といった軽い症状でも、注意が必要です

原因・危険因子

食道がんの発症には生活習慣が大きく関与します

主な危険因子(重要)

■ 喫煙
最大の危険因子で、長期喫煙者では発症リスクが大きく上昇します

■ 飲酒
アルコールによる慢性的な粘膜刺激が発がんに関与します。特に日本人に多いアルコール分解酵素が弱い体質の方ではリスクが高くなります。飲酒により赤ら顔の人はリスクが高くなります

喫煙と飲酒の併用
この組み合わせにより発症リスクは大幅に増加
します

■ 逆流性食道炎
胃酸の逆流が続くと粘膜が変化し、腺がん(バレット腺がん)の原因になります←稀です

■ その他
熱い飲食物の習慣、栄養不足、肥満なども関連するとされています

検査・診断

内視鏡検査(胃カメラ)

食道がんの発見に最も重要な検査です。当院で導入している最新の特殊光観察を用いることで、早期の微細な病変も確認でき、早期発見に役立っています

病理組織検査(生検検査)

疑わしい部位から組織を数か所採取し、確定診断を行います。

画像検査

食道がんと診断した場合、CTやPET検査により、進行度や転移の有無を評価します

治療方法

治療は進行度(ステージ)に応じて選択されます

① 内視鏡治療

早期がんに対して行われます(胃がんと同じ手法で行います)
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)により、体への負担が少なく根治が期待できます

② 外科手術

進行がんに対する標準治療です
食道を切除し、胃や腸を用いて再建を行います

③ 化学療法・放射線療法

手術前後の補助療法や、手術が困難な場合に行われます。化学放射線療法により根治を目指すことも可能です

④ 免疫療法

進行例や再発例では免疫チェックポイント阻害薬が使用され、近年治療成績が向上しています

予防と早期発見

食道がんは生活習慣の改善により予防可能ながんです

予防のポイント

  • 禁煙(大事)
  • 節酒(大事)
  • バランスの良い食事
  • 適正体重の維持
  • 定期的な内視鏡検査

特に喫煙や飲酒習慣のある方では、定期的な胃カメラ検査が早期発見に重要です

まとめ

食道がんは初期症状が乏しく、発見が遅れると治療が難しくなる可能性があります。しかし、早期に発見できれば内視鏡治療で完治が期待できるがんです

外科切除可能ながんであっても術後QOL(生活の質)の低下が大きく、早期食道がん(内視鏡切除できるがん)で発見することが非常に重要です

飲み込みにくさや胸の違和感など気になる症状がある場合は、早めの受診をおすすめします

当院では最新の特殊光で観察できる内視鏡機器を導入し早期発見に努めており安心して検査を受けていただけます。